加賀百万石回遊ルート内の文化施設を、お得に巡ることができる「SAMURAI PASSPORT(サムライパスポート)」

SAMURAI PASSPORTの対象施設となっている「金沢市立中村記念美術館」は、茶道と美術を楽しむ憩いの場として親しまれています。そんな金沢市立中村記念美術館の学芸員さんに聞いた、施設の魅力をご紹介!

また、「茶道」をテーマに編集部スタッフのおすすめスポットをご紹介します♪

「金沢市立中村記念美術館」の見どころをご紹介!

▲本多の森に囲まれ、市街とは思えぬ静けさ。

平成28年度の調査によると、石川県の茶道をたしなむ人の割合は全国1位だそう。これは加賀藩祖・前田利家が主君として仕えた織田信長や豊臣秀吉の影響で、茶の湯に傾倒したのがきっかけとされています。

金沢の豊かな茶道文化を体感できる『金沢市立中村記念美術館』の学芸員・齋藤さんにお話を伺いました。

▲『金沢市立中村記念美術館』学芸員・齋藤さん。

「加賀藩3代目藩主・前田利常公は、大名で茶人でもあった小堀遠州に茶の湯の指南を受けました。また、夫人の珠姫(天徳院)の姉妹が後水尾天皇に嫁していることから、京都の文化人たちとの交流も深めました。晩年は裏千家四代の仙叟宗室を召し抱えて千家の侘茶にも触れ、仙叟の指導により大樋焼や寒雉釜が作られるようになり、今日に至っています。利常による文化政策は加賀藩に多彩な工芸技法を招き入れ、それが華やかに発展し、茶道具の製作にも大きな影響を及ぼしたと言えるでしょう」

▲金沢の伝統工芸や旧家伝来のものが中心。

金沢で酒造業を営む実業家で茶人であった中村栄俊氏(1908~1978)は、「戦後の日本は文化国家として繁栄していかなければならない、そのためにもこの地に美術館を作ろう」と志を立て、精力的に美術品や工芸品などの名品を収集されました。

「美術品は一個人のものではなく国民の宝である」という信念のもと、収集した美術品を寄贈して財団を設立したのが始まりだとか。同館には茶碗や釜、水指などの茶道具を中心に、古九谷や加賀蒔絵などの工芸品、屏風・掛け軸など、約1200点を収蔵されています。

▲塩屋釜 十二代 宮﨑寒雉 20世紀

▲宝尽熨斗押 山尾光侶 19-20世紀

▲加賀象嵌錦鶏伏香炉 高橋介州 1981年

▲裂模様蒔絵二重小箱 大垣昌訓 20世紀

▲法花蓮池水禽文大香炉 景徳鎮窯 明 16世紀

『金沢市立中村記念美術館』の2階部分が展示スペース。江戸時代の大名や豪商がお抱え作家たちにつくらせた大変豪奢な逸品から、近現代の金沢の美術工芸作品も数多く収蔵されています。象嵌や彫金、蒔絵、螺鈿など、驚くほど細密な作品も多く、見ているだけでうっとりさせられます。

▲毎回、趣向を凝らした展覧会を企画・開催

「当館には夢窓疎石の書や青井戸茶碗 銘「雲井」といった、文化財指定の貴重な作品も収蔵されており、年に4回ほど入れ替わる展覧会で様々な名品を間近で観賞できます」と 齋藤 さん。

▲青井戸茶碗 銘「雲井」李朝 16世紀

また、本多公園の中にある同館は、金沢の中心地にあるにもかかわらず大変静か。1階には喫茶室があり、茶菓券(350円)を購入すれば和菓子と抹茶をいただけます。喫茶室の窓から手入れの行き届いた庭園の四季の移ろいを愛でながら、ゆったりとしたひと時を楽しめるのです。

なお、豊かな森に囲まれた敷地には旧中村邸や、移築された茶室の「梅庵」や「耕雲庵」が。半日や1日単位で借りられるため、お茶会を開くのはもちろん、旧中村邸は婚礼の前撮り撮影の場所としても活用されているそうです。

▲喫茶室から庭園や茶室「耕雲庵」が望める。

金沢市立中村記念美術館

金沢市本多町3-2-29
TEL/076-221-0751
料金/一般310円、65歳以上・障害者手帳(※障害者手帳アプリ「ミライロID」の提示でも対象)をお持ちの方、およびその介護人210円(祝日無料)、高校生以下無料、団体260円(20名以上)、茶菓券350円
営業時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
定休日/月曜(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/3、展示替え期間
駐車場/20台 
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気軽に鑑賞・購入できる茶道具屋「伊藤.Art Gallery幸」へ

▲通り沿い、『伊藤尚友堂』の店名を残した外観

広坂大通り沿いに『伊藤. Art Gallery 幸』はあります。明治期に創業して以来、長らく『伊藤尚友堂』として親しまれた古美術品のお店ですが、先ごろ、「気軽に本物のよさに触れていただければ」との思いから、店名を『伊藤.Art Gallery幸』に変更されました。

現在は、インターネットでの販売やオークションにも力を入れており、「県外や若い方にも裾野が広がっているのが嬉しいですね」と店主の伊藤さんは話します。

▲店内の奥にある侘びさびの心を感じる数寄庭。

階段を上ると、奥に美しい数寄庭が見えます。由緒ある神社のつがい柱を利用した手水鉢や、高山右近ゆかりの背の低い灯篭が見事です。どの季節におとずれても、濡れた石や苔がしみじみと美しく、心が落ち着く風情です。

▲1階店内の様子。現代九谷焼や輪島塗も揃える。

扱うのは、古美術と九谷焼から輪島塗まで石川県の伝統工芸品。茶道具は、抹茶碗、水指、花瓶、湯呑、茶杓、茶釜、掛け軸、屏風などお茶時に必要なものがすべて揃います。

▲楠木正成が武士に宛てた戒めを軸にしたもの。

この日かかっていたお軸は、楠木正成が書いた鎌倉時代の手紙を表装したもの。博物館にあってもおかしくない品だそうで、雄渾な筆致に見入ってしまいます。

また、加賀藩主前田利常の茶道茶具奉行として仕えた仙叟宗室に伴ってやってきた大樋長左衛門による大樋焼、御用釜師として召し抱えられた宮崎寒雉の茶の湯釜は、歴代のよいものを扱っています。

▲店内の商品は全て茶の心に通じるものを扱う。

「お茶道具以外のものもお茶の心に適うものを扱っています。お茶の心とは、わびさびの心。相手に対する思いやりがあり、自分の心が満足するものを大切にしています」と伊藤さん。

「地階のギャラリーには、若い方にも手に取りやすいように1枚2,000円ほどの皿などから扱っています。お気に入りに出合っていただきたい」とのことなので、一期一会を楽しみに訪れてみてはいかがでしょうか。

伊藤.Art Gallery幸

金沢市広坂1-1-52
TEL/076-231-6631
営業時間/9:30~15:00
定休日/水曜、12/29~1/3
駐車場/なし 
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茶道の先生から若者まで幅広く訪れる「野田屋茶店」へ

▲店内からは風情のある中庭を一望できる。

竪町交差点から竪町ストリートに入ったすぐの場所にある1859年創業の老舗茶店『野田屋茶店』。地元っ子なら一度はここの抹茶ソフトを食した経験があるはず。

扉を開けるとふんわりとしたお茶の良い香りと共に出迎えて下さったのが同店の3代目である野田さんと、そのお孫さん(写真)です。

▲『野田屋茶店』3代目・野田さんのお孫さん。

金沢では表千家、裏千家、遠州流、宗和流、皇風煎茶礼式、煎茶道松月流の各社中によるお点前が披露される『百万石茶会』と、8流派14社中が参加する『金沢城・兼六園大茶会』という毎年大きな茶会が2つも開催されており、そちらに『野田屋茶店』も煎茶・抹茶・お道具を納めていらっしゃいます。

店内には抹茶を引く大きな石臼やお茶を保管する冷蔵庫が並んでおり、金沢でお茶の先生をされている方が、抹茶の購入に訪れるそう。

「兼六園や中村記念美術館など、色々な場所にもお茶を納めていますので、そちらでお抹茶をいただいた方が『美味しかったので買いに来た』と、お見えになることもありますよ」と3代目。

▲店内には挽きたてのお茶の香りが。

老舗の専門店だけあって、お茶の種類は実に豊富。濃茶とお薄がそれぞれ6~7種類に、加賀棒茶や煎茶など、どれをいただこうが迷ってしまいます。


「あまり堅苦しく考えないで、朝にササっとお抹茶を点てていただくのがおすすめです。健康にも良いですしね」とのこと。抹茶だけでなく茶筅、器などの道具も販売しており、いずれもお土産として気軽に購入できる価格なのが魅力です。

▲茶碗や茶筅(ちゃせん)など、茶道具も販売。

▲抹茶や棒茶、煎茶などのお茶セットも提供。

カフェスペースでは、自家製抹茶を使った甘味をいただけます。中でも、一番人気なのがパフェ。抹茶ソフトは甘すぎず滑らかな口当たり。抹茶クッキーに抹茶白玉、抹茶ムースと、香り高い自家製抹茶を使用したスイーツが幾重にも層になっています。

ちなみに、産地が選べる煎茶や、香ばしい加賀棒茶などの淹れ立てのお茶とお菓子のセットもおすすめです。

▲人気の「めっちゃ抹茶パフェ」(825円)

野田屋茶店

金沢市竪町3
TEL/076-221-0982
営業時間/9:30~18:30
定休日/年始
席/20席
駐車場/1,500円以上購入でまちP割引あり
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