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SAMURAI PASSPORTの対象施設となっている「石川県立歴史博物館」は、国の重要文化財に指定されている歴史ある建物です。そんな石川県立歴史博物館の学芸員さんに聞いた、施設の魅力をご紹介!

また、「歴史」をテーマに編集部スタッフのおすすめスポットをご紹介します♪

「石川県立歴史博物館」の見どころをご紹介!

▲明治から大正に建てられた赤レンガの倉庫

広坂の交差点を出羽町方面へ登ると、国立工芸館や石川県立美術館、石川県立伝統産業工芸館(いしかわ生活工芸ミュージアム)などの博物館・美術館エリアが広がります。

こちらの一角にある赤レンガの建物が『石川県立歴史博物館』です。この建物は明治の終わりから大正の初めにかけて陸軍兵器庫として創建。戦後は金沢美術工芸大学の校舎となった後、1986年に創建当時の外観を再現し、博物館として生まれ変わりました。1990年には歴史的建造物の保存と再利用が評価され、国の重要文化財に指定されています。

同館の学芸員・岡崎さんに館内を案内していただきました。

▲『石川県立歴史博物館』学芸員・岡崎さん

「第1棟の中央階段は多くの木材を再利用して作られました。漆喰仕上げの壁や天井などが大正初期の雰囲気を醸し出しています。階段を挟んで2つの展示室があり、向かって左の第1展示室には縄文時代から江戸時代までの資料を展示しています。石川県は地理的に東アジアと近かったため、早くから日本海を越えた交流があったことも判っています」


展示作品は我々がイメージしやすいよう、模型や動画がたくさん使われており、子どもも楽しく学べる工夫がなされています。

▲第1棟中央階段

▲東アジアとの交流の歴史も学べる。

▲第1展示室には弥生時代~古墳時代の工房の様子も展示

「見応えがあるのは加賀藩の大名行列の模型です。紹介パネルでは、運んだ品々や、一回の参勤交代に1億円以上の費用が掛かったことなど、細かな部分にまでこだわって解説しています。さらに、現在の犀川大橋や片町スクランブル交差点あたりの、江戸時代の様子を復元したジオラマもおすすめです。かつての城下町の面影が、現在の街に残っているとわかると、金沢の街歩きを一層楽しんでいただけると思います」と岡崎さん。

▲江戸時代の大名行列や、城下町のジオラマ

第2展示室には明治時代から現代までの石川県の歴史・民俗を展示。中でも高度経済成長期のくらしを展示したブースは靴を脱いで上がることができ、当時の黒電話やちゃぶ台などに触れながら撮影を楽しめます。

▲「高度経済成長期のくらし」のブース

「こちらでおすすめなのが『祭礼体感シアター』です。石川県内のお祭りの映像が3面に映し出され、音響に合わせて床が振動するため、迫力ある祭りの雰囲気を疑似体験できます」とのこと。


開催日が限られていて旅行で見るのが難しい地域の祭礼を、特等席で見学しているような贅沢な気分が味わえました。

▲第2展示室では石川の祭りを体感できる。

第1棟と第2棟をつなぐ間には『ほっとサロン』と呼ばれるガラス張りの休憩スペースが。レンガ館の厳かな外観と共に春には桜、秋には紅葉を楽しめるので、大変人気です。さらに、第2棟と第3棟の間には、国指定史跡である辰巳用水の石管を活用したモニュメントが。江戸後期の石管からは、各時間の00分ちょうどから放水の様子も見学できます。

▲休憩スペース「ほっとサロン」

石川県立歴史博物館(いしかわ赤レンガミュージアム)

金沢市出羽町3-1
TEL/076-262-3236
料金/一般300円(団体240円)、大学生240円(団体190円)、高校生以下無料 ※団体は20名以上、65歳以上240円、特別展は別料金。
営業時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日/不定休(公式サイトに記載)、年末年始
駐車場/45台
SNS/Twitter

加賀百万石の繁栄に尽くした珠姫の寺「天徳院」へ

▲山門から望む『天徳院』の境内と本堂

3代藩主前田利常公の正室・珠姫の菩提寺『天徳院』は小立野台の住宅街の一角にあります。

珠姫は徳川家康の孫として生まれ、わずか3歳で江戸から加賀へと輿入れし、14歳で結婚。多くの子供に恵まれつつも24歳の若さで生涯を終えました。現在でも「金沢百万石まつり」の行列で子役の珠姫がお手振りするなど、金沢市民にとって馴染み深いお姫様です。

▲本堂内部。手前には資料が展示されている。

「当時の大名は幕府から些細な事でお取り潰しを受けることがありました。創建当時の『天徳院』の敷地は約4万坪と非常に広大。現在の兼六園が約3万坪ですので、その広大さからも夫・前田利常公の、徳川家への大変な気遣いが伺えます」と副住職の荒井さん。

▲『天徳院』の副住職・荒井さん

珠姫の御尊像の台座には前田家の梅鉢だけでなく、真ん中に徳川家の三つ葉葵の紋が刻まれています。また珠姫お手製の紙雛人形など、縁のものも展示されています。

▲珠姫に縁のある品々を展示

創建当時の姿を残す山門。その上には中国の仏師の作風を伺わせる十六羅漢が祀られており、そのうち1体は本堂で拝観できます。


「創建時の寺院や回廊は江戸時代の何回目かの年忌法要の数カ月前に火災で焼失しました。しかし、徳川家への配慮もあって、藩中から人足や材料をかき集め、わずか70日ほどで現在の寺院を建立。無事に法要を行ったそうです」

▲県指定の有形文化財に指定されている山門

本堂の一角には、木偶師八代目玉屋庄兵衛氏が作成した貴重なからくり人形があり、金沢城の御殿を再現した舞台で「珠姫・天徳院物語」を上演しています。寺院の説明とからくり人形劇を合わせて拝観にかかる所要時間は約1時間。奥の茶席では禅庭を眺めながらお茶(一服500円)もいただけますので、四季折々の美しい庭も堪能してみてくださいね。

▲6体のからくり人形が演じる舞台も見物

▲別名「黙照禅庭」とも呼ばれる庭園

天徳院

金沢市小立野4-4-4
TEL/076-231-4484
料金/大人500円(団体450円)、中学生300円(団体270円)、小学生200円(団体180円) ※団体は30名以上。
営業時間/【3月~11月】9:30~16:30、【12月~2月】9:30~16:00
※からくり人形の上映時間は10時、12時、14時、16時で各15分。ただし、12月から2月は16時の上演なし。からくり人形DVD上映は11時、13時、15時から各15分。
定休日/【12月~2月】水曜、年末年始(12/29~1/3)
駐車場/30台 
SNS/Instagram

からくりがいっぱい!忍者寺と呼ばれる「妙立寺」へ

▲本堂の上には監視の役割を持つ「望楼」が。

加賀藩三代藩主・前田利常は金沢城の防備や寺社管理などのため、城下の寺社を移転・配置しました。金沢城の南東の「小立野寺院群」、北東の「卯辰山寺院群」、そして犀川を超えた南西にあったのが最も大きい「寺町寺院群」です。

この寺町寺院群の中心的な存在こそが、今回紹介する『妙立寺』でした。こちらは通称・忍者寺と呼ばれるほど、お寺の中が複雑に入り組んでいます。

▲『妙立寺』の案内人・村上さん

寺院の中はからくりだけでなく、坂や段差が至る所にあり、天井高も低いため足元と頭上にとても注意しなければなりません。拝観は予約制で、案内人にガイドしてもらいながら約1時間、じっくりと見て回ります。案内くださったのは村上さんです。


「当時、加賀藩は百万石の禄高を誇る外様大名の雄として徳川幕府の監視下に置かれていました。実際、幕府内では加賀征伐の計画も存在したとか。こうした背景から、戦に備えて約70社ある寺町寺院群の出城的な役割として、ここ『妙立寺』が造られたのです」

▲掛け軸の裏には隠し扉が。

こちらの住職は歴代の加賀藩主の相談役も務めたそう。お殿様が参られることもしばしばあり、絢爛豪華な大名茶室やそこへと続く太鼓橋は、お寺の中にあるとは思えない風情のある造りになっています。

▲特別な人しか通されなかった「謁見の間」

「創建当時は幕府の命により、2階以上の建造物を建てられません。しかし、こちらは地上5階建て。3階以上へとあがる階段は全てからくりで隠し、高めに設けられた窓の位置によって外からは2階建てに見えるよう作られました」

▲隠し扉や隠し階段など、仕掛けがいっぱい。

敵が来た時に時間稼ぎとなるよう、落とし穴が設けられていたり、攻め込まれた時に殿様が寺院から逃げられるよう、あらゆる場所に秘密の通路があったり…。

370年以上前に建てられたとは思えない迷路のような複雑かつ、計算しつくされた構造は、まさに一見の価値ありです。

妙立寺(忍者寺)

金沢市野町1-2-12
TEL/076-241-0888
料金/大人(中学生以上)1,000円、小学生700円
※小学校入学前のお子様は、堂内を御拝観できません。
営業時間/ 9:00〜16:00(電話での事前予約制)※予約は3日前から可能。
定休日/ 1月1日及び法要日
駐車場/なし