加賀百万石回遊ルート内の文化施設を、お得に巡ることができる「SAMURAI PASSPORT(サムライパスポート)」

SAMURAI PASSPORTの対象施設となっている「いしかわ生活工芸ミュージアム」は、現代のくらしの中でも使えるような工芸品を取りそろえた美術館です。そんないしかわ生活工芸ミュージアムの学芸員さんに聞いた、施設の魅力をご紹介!

また、学芸員さんに「工芸」をテーマにおすすめスポットを聞き、リレー方式でおすすめスポットや見どころをご紹介します♪

「いしかわ生活工芸ミュージアム」の見どころをご紹介!

国の特別名勝に指定されており、日本三名園の一つでもある『兼六園』。
金沢の観光名所として外せないこの場所に隣接しているのが『いしかわ生活工芸ミュージアム』です。


昭和59年に「石川県立伝統産業工芸館」として開館し、長く親しまれてきましたが2020年10月に東京から移転オープンした『国立工芸館』から近いことと、どちらも“工芸館”と名称が似ているため、2020年4月に現在の通称になりました。
『いしかわ生活工芸ミュージアム』の1階は入場無料。2ヵ月に1度入れ替わる石川県の工芸にまつわる企画展を開催されています。

「一般的な美術館や博物館は美術品や資料を展示しているのに対して、こちらでは生活の中で使える工芸品を展示販売すると共に、その制作工程を紹介しています。ですから、展示品の大半が購入可能なのです」と、同館学芸員の弓場さん。

▲『いしかわ生活工芸ミュージアム』学芸員・弓場さん

▲2階の第1展示室「衣・食・住を彩る美」

▲国指定の伝統工芸「加賀繍(かがぬい)」

有料の2階スペースには、石川県内の伝統的工芸品36業種が展示されています。中にはすでに作り手がいなくなった産業も。


かつて刃物鍜治が盛んだった「鶴来(つるぎ)」のように、地名・町名が産業と深くつながっていたことなども学べます。

▲2階の第1展示室「祈・遊・音・祭を彩る美」

「地元の中学生だけでなく、北海道の修学旅行生が、社会科見学に来たこともあります。石川県には国指定の伝統産業が10業種も、県指定のものは6業種もあるなど、まさに国内外に誇れる工芸の産地なのです」と弓場さん。

2階の展示品は約半数が購入可能だそう。ちなみに、一番高い品は蒔絵が施された金沢仏壇で、お値段は400万円とのことです。

▲非売品と購入可能な品を同じ空間で展示

1階奥には、石川県内の工芸品を購入できるミュージアムショップがあります。金箔や水引を使ったアクセサリーから、九谷焼の箸置き、陶芸、ガラス、和紙や蠟燭などの伝統的工芸品から生活工芸品まで、お土産に最適な価格帯の商品もずらり。


奥能登から加賀まで、有名店の伝統的工芸品を一度に見比べられるのも、ここの醍醐味です。

▲1階ミュージアムショップは全て購入可能。

▲体験プログラムの所要時間は約20分

また、有料観覧者限定で参加できる「水引ぽち袋」や「繭細工」、「組子のコースター」、「太鼓の端材でつくるカスタネット」といった体験プログラム(有料・500~1,000円)にも注目!

いつも実施している体験プログラムとは別に、企画展ごとに様々な作品を制作するワークショップも開催しています。
工芸作家さんが実際に講師を務められる大変貴重な機会ですし、自分の手で工芸品を作る楽しさを気軽に味わえるのでとてもおすすめです。

石川県の誇る工芸品を学び、買い、作ることができる当施設に、ぜひ訪れてみてはいかかでしょうか。

いしかわ生活工芸ミュージアム

金沢市兼六町1-1
TEL/076-262-2020
料金/【1階】:無料
【2階】:大人(18才以上)260円、65才以上210円、17才以下100円、
<団体(30名以上)>大人(18才以上)210円、65才以上210円、17才以下80円
※6才未満は無料
※障害者の方と付添1名は障害者手帳やミライロID等の提示により無料
営業時間/9:00~17:00(入館は16:45)
定休日/ 【4月~11月】第3木曜、【12月~3月】木曜(祝日は除く)、年末年始
駐車場/12台 
SNS/FacebookInstagram

いしかわ生活工芸ミュージアムの学芸員、弓場さんのおすすめスポットは、金沢初の滞在型レジデンスホテル『so,KANAZAWA』です。
各部屋に石川県の伝統工芸品が飾られており、「自分の家でもこのように飾ればよいのか!」とお手本にできるようなところがおすすめなのだそうです。

金沢の工芸品があしらわれたレジデンスホテル「so,KANAZAWA」へ

▲エントランス及び客室の鍵はパスワード式

卯辰山工芸工房出身、独特の質感を持つ作品で注目を集める中嶋寿子さんの陶土で作られた「土の鳥」や、金沢市北部の集落でスタジオ兼ギャラリー『ザクロ文庫』を営む夫婦作家「初雪・ポッケ」による真鍮や銀・天然石でつくられた「花の環」、縁起が良いとされる槐の樹を使い、金沢仏壇・箔彫刻の技法で作られた齊藤美知代さんの鬼や酒瓶、酒器などの木彫刻。

ホテル『so, KANAZAWA』には、ロビーや各部屋入口、室内装飾など、至る所に金沢ゆかりの工芸作家さんの作品が配されています。しかも、シンプルな空間のアクセントとなるようレイアウトされていますので、日常生活に工芸作品を取り込む“お手本”を見ているようでワクワクします。

▲壁飾りや家具に、工芸品が使われている。

こちらは自宅のように快適に過ごせる滞在型のホテル。出入り口はパスコードによるオートロックのため、フロントもなく、チェックイン時にスタッフと接触する必要もありません。そして、どの部屋にも空間をさりげなく演出する素敵な工芸作品が飾られています。

早速、運営会社代表・吉岡さんにお話を伺いました。

▲運営会社代表・吉岡さん

「当ホテルは2019年に開業しました。金沢市内で技術を磨かれた方や、制作拠点を持っている方など、地元金沢市にゆかりのある工芸作家とコラボした全8室には、それぞれ『竹の間』や『槐の間』などの名前がついており、それぞれに銘木をコンセプトにした装飾が施され、非日常な空間であなたの旅先での時間を盛り上げます」

▲「槐の間」

▲「竹の間」には工芸作家が手がけた壁飾りが。

▲作家の紹介文も掲示

「各部屋に展示された工芸作品にはそれぞれ小さな説明書きも添えてあり、物によってはQRコードで作品の詳細をチェックできます。ホテルの滞在時間に金沢ゆかりの工芸作家情報をご覧いただくという楽しみ方ができますよ」

▲「槐の間」の部屋飾り

▲部屋への通路にもユニークな飾りが。

so, KANAZAWA

金沢市本町2-1-14
TEL/090-1392-8309
料金/1室20,000円~30,0000円
時間/チェックイン・16:00、チェックアウト・10:00
駐車場/なし

最後にご紹介するのは、「so,KANAZAWA」吉岡さんのおすすめスポット、ギャラリーの「ArtShop 月映」です。
こちらは町家を改装した、温かみのある空間がおすすめポイントなのだとか。

若手作家の作品が並ぶギャラリー、「ArtShop 月映」へ

▲工芸素材のアートが並ぶ店内

ギャラリー『ArtShop月映』は町家を改装した店内は漆喰や太い梁がとっても特徴的。


「美術館のような空間より、柱や壁があることで、展示作品を家に飾る具体的なイメージが湧きやすいでしょう?」というギャラリーの代表・宮永さん。


『金沢美術工芸大学』准教授で陶芸作家でもある娘・春香さんの母として、若手作家を応援するために活動の場を提供したいと、こちらのギャラリーをつくられたのだとか。

▲『ArtShop月映』代表・宮永さん

「金沢にはたくさんのギャラリーがありますが、オブジェのようなアート作品を常時展示する場所があまりありませんでした。使いやすい生活工芸品の方が売れるため、展示する場所も機会も多いのです。しかし、金沢には学校や工房も多く、漆・陶磁・ガラス・金属を用いた“工芸素材のアート”を作る作家がたくさんいます。ですから自分がその専門ギャラリーを作ろうと思い立ちました」と宮永さん。

▲町家に合う古い家具に作品をディスプレイ

こちらでは金沢・富山といった地元の作家を中心に、約30人が所属。
金沢には『金沢美術工芸大学』や『卯辰山工芸工房』といった若手作家を育てる施設があり、全国から若手作家さんが集まっているそうです。

▲村田 言恵 【陶芸】「麒麟」ほか

「アート作品の場合、“自分自身とは何か”という深い問いかけを行いながら、自分を投影した作品が作られます。そんな若手作家ならではの魅力を肌で感じていただける場になっていると思います」

▲久米 圭子 【金属】「seed 055」

▲山脇 千尋 【漆】「萌し(きざし)(1)(2)」

▲宮永 春香 【陶芸】「葉椀20」ほか


展示会を行った若手作家の中には、世界的なブランド「LOEWE」が2016年から行っているコンペ「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ」の入賞者が、4人もいるそうです。
ビビッと来て購入した作品が、未来の巨匠の初期作品となることもありそうですね。

ArtShop 月映

金沢市安江町18-10
TEL/076-256-5371
料金/入場無料
営業時間/10:00〜18:00
定休日/月曜、火曜 
駐車場/なし
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